ski経営サポートオフィスの社労士コラム

通勤災害について

2012.01.24

「通勤」とは、「労働者が就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くもの」とされています。

  1. 住居と就業の場所との往復
  2. 労災保険法の適用事業、通勤災害保護制度の対象となっている特別加入者に係る就業の場所、これらに類する就業の場所への移動
  3. 上記1.の往復に先行し、または後続する住居間への移動

ちょっとややこしいですが、事例によってみていきましょう。

どこからどこまでが通勤か

出勤する場合でもそれが住居内であれば通勤とはいえません。

一戸建ての場合は家の門を出たところからが通勤となります。マンションやアパートなどの集合住宅の場合は、自宅のドアを出たところからが出勤となります。ですから集合住宅の場合は、共用の廊下や階段でケガをすれば、通勤災害と認められます。

自宅以外からの出勤

長時間の残業や早出出勤のため、交通機関のストによる場合、台風など自然現象の場合などのやむを得ない事情により一時的にホテルなどに宿泊する場合には、このホテルと就業場所との往復中にけがをした場合は通勤災害と認められます。

一方、徹夜で飲酒をしたとか徹夜で麻雀をして、友達の家に泊まったような場合は、やむを得ない事情と言えませんので、通勤とは認められません。

寄り道をしても通勤災害と認められる場合の例

仕事帰りに夕食などの買い物をする場合、買い物中はケガをしたとしても通勤とは関係ないため、通勤災害とは認められません。

しかし、夕食の買い物などの日常生活に必要な行為の場合は、その後の帰路でのケガは通勤災害と認められます。

その他の例

  1. 出退勤の途中で、独身者が食事に立ち寄る場合、クリーニング店に立ち寄る場合、理容店・美容院に立ち寄る場合
  2. 公共職業訓練、学校での教育、その他職業能力の開発向上のための教育訓練を受ける場合
  3. 選挙の投票による場合
  4. 病院で診察や治療を受ける場合
  5. 介護の必要な父母・祖父母などの一定の家族を介護するために立ち寄る場合

寄り道後に通勤災害と認められない場合の例

  1. 麻雀を行う場合
  2. 映画館に行く場合
  3. 居酒屋やバーなどで飲酒する場合
  4. デートをする場合

もっとも、トイレの利用、公園での短時間の休憩、たばこ休憩、雑誌等の購入、ジュースの立ち飲み、軽く渇きを癒すためのお茶・ビールを飲む等の行為は中断・逸脱とはみなされません。

飲酒の場合は判断が難しいですが、立ち飲み程度の短時間のものなら逸脱とはならないとされています。

昼休み中でも通勤災害になる場合

昼休みに自宅に戻り昼食を食べる場合などは、午前中の業務を終了して一旦家に帰り、午後からまた出勤するものと考えられますので、通勤災害と認められます。

ただし、昼休みに昼食を外に食べに行くとか弁当を買いに行く場合などは通勤ではありませんので通勤災害とは認められません。

単身赴任の場合

家族の事情で単身赴任している人が、週末に家族のいる自宅に帰り、週明けにそこから出勤して来る場合があります。このような場合、家族のいる自宅から就業場所への間、もしくは一旦赴任先の部屋に戻りそこから出勤する間にケガをした場合、一般的に通勤災害と認められます。

通勤経路・方法を変えた場合

会社に届け出ている通勤経路・方法だけが通勤という訳ではありません。いつもと違う経路であっても通常に用いられると思われるものは通勤と認められます。

鉄道・バス・自動車・自転車・徒歩というように通常用いられる方法ならば、いつも利用しているかどうかにかかわらず、通勤と認められます。

ただし、通行禁止の場所を通行するとか、あきらかに遠回りして出勤するような場合を除きます。

会社に届け出ているかどうか、いつも利用しているかどうかは、通勤災害の認定上は関係ありません。

兼業している場合

別の会社と兼業している人が、最初の就業場所から次の就業場所へ移動する場合、合理的な経路及び方法であれば通勤と認められます。この場合、会社が兼業を認めているかどうかは、通勤災害の認定上は関係ありません。

この場合の移動中のケガは、向かう先の会社の通勤災害となります。


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