ski経営サポートオフィスの社労士コラム

整理解雇とは

2012.03.01

整理解雇

会社が、経営不振のため経営合理化を進め、会社を存続させるために人員削減を行うための解雇を「整理解雇」といいます。整理解雇は従業員に責任がないにもかかわらず、雇用調整の最後の手段として行われる解雇で、一般の解雇と大きく異なります。

整理解雇については、整理解雇の4要件を確認する必要があります。

整理解雇の4要件

1.人員削減を行う経営上の必要性がある事

解雇を必要とする経営上の必要性が当然に求めれられます。最近の判例では、人員削減の必要性は「企業の合理的運営上やむを得ない必要性」としています。

実務的には、人員削減と同じ時期に多数の新規採用をしたり、大規模な設備投資、大幅な賃上げなど人員削減とは明らかに矛盾する経営行動がとられた場合でない限り、使用者の経営判断を尊重するようです。

2.使用者による十分な解雇回避努力が尽くされていること

人員削減を行うには、諸経費の削減・圧縮、不採算部門の閉鎖、採用の停止、残業の削減、操業短縮、一時帰休、配置転換、出向・転籍による人員削減、役員報酬や管理職・一般社員の給与カット、希望退職者の募集など種々の雇用調整策を行って、解雇回避の努力をしなければなりません。使用者が何も解雇回避措置をとることなく整理解雇を行うことは困難です。

ただ、会社が、どのような解雇回避手段をどのような順番で行うかは、決まったものではなく、経営上の必要性の程度で判断します。今現在、経営危機の状態の時と将来の経営危機防止のために整理解雇する場合では求められる解雇回避努力の内容は異なると言えます。

3.解雇の人選に対して客観的・合理的で、公正であること

選定基準には、勤務成績や能力評価、勤続年数や年齢、従業員の再就職の可能性や家計への影響など様々なものがありますが、具体的事情に応じて個別に判断することが必要です。裁判例では、詳細な運用基準(評価対象期間、評価項目、評価方法など)が設定されていることとされています。また、評価基準が評価した人の主観に左右されているなど客観的でないものは合理的とは言えません。

又、不採算部門があり、そこに所属していたからという理由だけで解雇することもできません。

4.労働組合・労働者と十分な説明・協議を尽くしていること

整理解雇は従業員の責任ではない解雇のため、従業員の納得が得られるように誠実に協議・説明を行うことが求められます。労働組合がある場合は労働組合、無い場合は、リストラの対象となる事業の従業員との協議・説明を行う義務があります。

最近の傾向

最近、以前の企業単位の整理解雇から事業部門単位の整理解雇が増えるなど、多種多様な整理解雇を行う傾向にあります。これらを背景に、裁判例も整理解雇規制を緩和する傾向にありますが、実務上は慎重に、以上の4要件に合致するかどうかを検討することがトラブル防止につながると言えます。

無料相談のお申し込みはこちら