ski経営サポートオフィスの社労士コラム

平成27年度介護報酬改定の基本的な考え方

2014.12.27

 厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会は、「平成27年度介護報酬改定」に向けて、審議報告のとりまとめを行いました。以下訪問介護とデイに関連する内容の抜粋です。

各サービスの報酬・基準に係る見直しの基本的な方向

訪問介護

(1.20 分未満の身体介護の見直し)
  • 在宅における中重度の要介護者の支援を促進するため、訪問介護における身体介護の時間区分の1つとして「20 分未満」を位置づける。また、現行の「定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者の指定を受けている」又は「実施に関する計画を策定している」場合について、日中と夜間・深夜・早朝の算定要件を共通のものとした上で、算定対象者を見直し、要介護1及び要介護2の利用者については、認知症等により、短時間の身体介護が定期的に必要と認められる場合には、算定を可能とする(要介護1及び要介護2の利用者に対する「20 分未満の身体介護」の算定については、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者の指定を受けている」訪問介護事業所に限る。)。この場合には、従前どおり、前回提供した訪問介護から概ね2時間以上の間隔を空けることを求めないが、「20 分未満の身体介護」を算定する利用者に係る1月あたりの訪問介護費は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護費(Ⅰ)(訪問看護サービスを行わない場合)における当該利用者の要介護度に対応する単位数の範囲内とする。
(2.訪問介護におけるサービス提供責任者の配置基準の緩和)
  • 複数のサービス提供責任者が共同して利用者に関わる体制が構築されている場合や、利用者情報の共有などサービス提供責任者が行う業務の効率化が図られている場合には、サービス提供責任者の配置基準を利用者50 人に対して1人以上に緩和する。
(3.サービス提供責任者の配置による加算の充実)
  • 中重度の要介護者を重点的に受け入れるとともに、人員基準を上回る常勤のサービス提供責任者を配置する事業所について、特定事業所加算による加算を行う。
(4.訪問介護員2級課程修了者であるサービス提供責任者に係る減算の取扱い )
  • サービス提供責任者の任用要件について、介護福祉士への段階的な移行を進めるため、平成27 年4月以降は訪問介護員2級課程修了者であるサービス提供責任者に係る減算割合を引き上げる。ただし、減算が適用される訪問介護事業所が、人員基準を満たす他の訪問介護事業所と統合し出張所(いわゆる「サテライト事業所」)となる場合は、平成29 年度末までの間、減算適用事業所を統合する訪問介護事業所全体について、当該減算を適用しないこととする。
(5.生活機能向上連携加算の拡大)
  •  自立支援型サービスとしての機能強化を図るため実施している、生活機能向上連携加算について、通所リハビリテーションのリハビリテーション専門職が利用者の居宅を訪問する際にサービス提供責任者が同行する等により、リハビリテーション専門職と共同して、利用者の身体状況等を評価し、生活機能の向上を目的とした訪問介護計画を作成した場合について、新たに加算対象とする。
(6.訪問介護と新総合事業を一体的に実施する場合の人員等の基準上の取扱い)
  • 訪問介護事業者が、訪問介護及び新総合事業における第一号訪問事業を、同一の事業所において、一体的に実施する場合の人員、設備及び運営の基準については、訪問介護及び介護予防訪問介護を一体的に実施する場合の現行の基準に準ずるものとする。

通所介護

(1.在宅生活の継続に資するサービスを提供している事業所の評価)
  • 認知症高齢者や重度の要介護者が増加していくことが見込まれる中で、在宅生活を継続するためには、「認知症対応機能」、「重度者対応機能」、「心身機能訓練から生活行為力向上訓練まで総合的に行う機能」を充実させる必要がある。このような観点から、認知症高齢者や重度の要介護者を積極的に受け入れ、在宅生活の継続に資するサービスを提供するため、介護職員又は看護職員を指定基準よりも常勤換算方法で複数以上加配している事業所について、加算として評価する。
(2.心身機能訓練から生活行為向上訓練まで総合的に行う機能の強化)
  • 地域で在宅生活が継続できるよう生活機能の維持・向上に資する効果的な支援を行う事業所を評価するため、現行の個別機能訓練加算の算定要件について、居宅を訪問した上で計画を作成することを新たな要件として加えるとともに、加算の評価の見直しを行う。
(3.地域連携の拠点としての機能の充実 )
  • 利用者の地域での暮らしを支えるため、医療機関や他の介護事業所、地域の住民活動等と連携し、通所介護事業所を利用しない日でも利用者を支える地域連携の拠点としての機能を展開できるよう、生活相談員の専従要件を緩和し、事業所内に限った利用者との対話を主体とした相談業務のみならず、サービス担当者会議に加えて地域ケア会議への出席などが可能となるようにする。
(4.小規模型通所介護の基本報酬の見直し)

小規模型通所介護の基本報酬について、通常規模型事業所と小規模型事業所のサービス提供に係る管理的経費の実態を踏まえ、評価の適正化を行う。

(5.看護職員の配置基準の緩和 )
  • 地域で不足している看護職員については、その専門性を効果的に活かすことができるよう、病院、診療所、訪問看護ステーションと連携し、健康状態の確認を行った場合には、人員配置基準を満たしたものとする。
(6.地域密着型通所介護に係る基準の創設)
  • 平成28 年度に地域密着型通所介護が創設されることに伴い、地域との連携や運営の透明性を確保するための運営推進会議の設置など、新たに基準を設けるとともに、基本報酬の設定については、上述4.における見直し後の小規模型通所介護の基本報酬を踏襲する。
(7.小規模多機能型居宅介護のサテライト型事業所への移行に向けた経過措置)
  • 小規模な通所介護事業所が小規模多機能型居宅介護のサテライト型事業所に移行する際に、小規模多機能型居宅介護のサテライト型事業所としての基準について、平成29 年度末までの経過措置を設ける。また、経過措置期間内において、小規模多機能型居宅介護のサテライト型事業所としての人員配置基準を満たさない場合には、小規模多機能型居宅介護の基本報酬を減算(70/100)する。
(8.通所介護(大規模型・通常規模型)のサテライト事業所への移行 )
  • 小規模な通所介護事業所が通所介護(大規模型・通常規模型)事業所のサテライト事業所へ移行するに当たっては、一体的なサービス提供の単位として本体事業所に含めて指定するなど、現行のサテライト事業所の取扱いに従って実施
(9.通所介護と新総合事業における通所事業を一体的に実施する場合の人員等の基準上の取扱い)
  • 通所介護事業者が、通所介護及び新総合事業における第一号通所事業を、同一の事業所において、一体的に運営する場合の人員、設備及び運営の基準については、通所介護及び介護予防通所介護を一体的に実施する場合の現行の基準に準ずるものとする。
(10.夜間及び深夜のサービスを実施する場合の運営基準の厳格化 )
  • 通所介護事業所の設備を利用して、介護保険制度外の夜間及び深夜のサービス(宿泊サービス)を実施している事業所については、届出を求めることとし、事故報告の仕組みを設けるとともに、情報公表を推進する。

通所系サービス共通(通所介護、通所リハビリテーション、認知症対応型通所介護)

(1.送迎時における居宅内介助等の評価)
  • 送迎時に実施した居宅内介助等(電気の消灯・点灯、着替え、ベッドへの移乗、窓の施錠等)を通所介護、通所リハビリテーション又は認知症対応型通所介護の所要時間に含めることとする。
(2.延長加算の見直し)
  • 通所介護等の延長加算は、実態として通所介護事業所等の設備を利用して宿泊する場合は算定不可とするとともに、介護者の更なる負担軽減や、仕事と介護の両立の観点から、更に延長加算の対象範囲を拡大する。
(3.送迎が実施されない場合の評価の見直し)
  • 送迎を実施していない場合(利用者が自ら通う場合、家族が送迎を行う場合等の事業所が送迎を実施していない場合)は減算の対象とする。

介護予防サービス

(介護予防サービスにおける基本報酬の見直し)
  • 介護予防通所介護及び介護予防通所リハビリテーションについては、介護予防を目的としたものとして包括的に評価しているが、通所介護とは異なり、いわゆる「レスパイト機能」を有していないことから、長時間の利用は想定されない。このため、介護予防サービスのあり方と提供実態を踏まえた上で、通常規模型通所介護及び通常規模型通所リハビリテーションの基本報酬の評価と整合性が図られるように適正化を行う。

訪問系サービス共通

(訪問系サービスにおける取扱い)
  • 訪問介護、訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護、訪問看護及び訪問リハビリテーションについて、以下の場合の評価を適正化する。 
  1. 事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内の建物(養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に限る。)に居住する利用者を訪問する場合は、当該建物に居住する人数に関わらず、当該利用者に対する報酬を減算する。
  2. 事業所と同一建物以外の建物(建物の定義は同上)に居住する利用者を訪問する場合は、当該建物に居住する利用者が一定数以上であるものについて、新たに減算する。

介護職員処遇改善加算の拡大

  • 介護職員処遇改善加算(以下「処遇改善加算」という。)については、介護職員の処遇改善が後退しないよう現行の加算の仕組みは維持しつつ、更なる資質向上の取組、雇用管理の改善、労働環境の改善の取組を進める事業所を対象とし、更なる上乗せ評価を行うための区分を創設する。

サービス提供体制強化加算の拡大

  • 介護福祉士については、継続的に専門性を高めることを前提とし、介護職の中核的な役割を担う存在として位置づける方向性が示されていることを踏まえ、介護福祉士の配置がより一層促進されるよう、サービス提供体制強化加算の要件については、新たに介護福祉士の配置割合がより高い状況を評価するための区分を創設する。また、処遇改善に向けた取組を一層推進する観点から、処遇改善加算と同様に、サービス提供体制強化加算については、区分支給限度基準額の算定に含めないこととする。なお、現行の都道府県による従業者等に関する情報公表の仕組みについて、各事業所の基本情報に教育訓練のための制度、各種研修、キャリア段位制度の取組等、従業者の資質向上に向けた取組状況を追加する
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