ski経営サポートオフィスの社労士コラム

事業場外みなし労働制について

2014.02.09

 労働時間の算定が困難な場合に、所定の時間を働いたことにする「みなし労働時間制」の適用は不当として、阪急交通社の子会社「阪急トラベルサポート」(大阪市)の派遣添乗員が、未払い残業代などの支払いを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は1月24日、「業務内容や指示、報告の方法などを考慮すると、添乗員の勤務状況の把握が困難だったとは言えない」として適用を認めず、同社側の上告を棄却した。

  同社に計約31万円の支払いを命じた二審東京高裁判決が確定した。

 以下判決文から要約です。 

  1.  添乗業務について、会社は、添乗員との間で、あらかじめ定められた旅行日程に沿った旅程の管理等の業務を行うべきことを具体的に指示していた。
  2. 予定された旅行日程に、途中で相応の変更を要する事態が生じた場合には、その時点で個別の指示をするものとされていた。
  3. 旅行日程の終了後は、内容の正確性を確認し得る添乗日報によって、業務の遂行の状況等につき詳細な報告を受けるものとされていた。 

 以上のような業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、会社と添乗員との間の業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等、添乗業務については、これに従事する添乗員の勤務の状況を具体的に把握することが困難であったとは認め難く、労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえない。

 この判決を受けて、厚生労働省より、事業場外みなし労働制適用に関する通達が出されることが予想され、営業職の時間管理および割増賃金にも大きな影響を与えることが考えられます。

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